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交通事故よりも多い「ヒートショック」を防ぐには‼
「ヒートショック」
きっと言葉自体は聞いたことがありますよね。
ヒートショックとは、家の中の急激な温度変化により血圧が大きく変動することで失神や心筋 梗塞、脳梗塞などを引き起こし、身体へ悪影響を及ぼしてしまうこともあります。
東京都健康長寿医療センター研究所の2011年の調査によれば、
外気温が低くなる1月は、入浴中に心肺機能停止となる人が最も少ない8月のおよそ11倍で、
こ の増加の原因はヒートショックによるものとしています。
入浴中のヒートショック等による意識障害により浴槽に倒れ、沈み込んで溺死する、というパ ターンが多いといわれています。
消費者庁が公表している資料によると、高齢者の事故のうち、「不慮の溺死及び溺水」による 死亡者数は増加傾向にあることが分かります。
特にその7割を占めるのが、「家」「移住施設」の「浴槽」におけるものだけでも、
平成23年 以降、交通事故による死亡者数より多くなっています。
全年代で死亡者が増加していますが、特に後期高齢者の死亡者数が著しく増えていることが分 かります。
では、なぜ冬場の入浴中にヒートショックが起きるのでしょうか。
真冬は、暖房をつけている暖かい部屋と暖房をつけていない浴室やトイレの温度差は、10℃を 超えるといわれています。
暖かい部屋から寒い浴室に移動すると、体は室温の急激な変化から体温を調整するために、ブ ルブルと筋肉を震わせて熱を作ります。
なので、寒くて震えるのはこのせいなんです。
それと同時に、血管を細くして、皮膚の下に流れる血液の量を減らし、体の熱を外に逃がさな いように調節します。血管が縮むと血液が流れにくくなるので、血圧が急上昇します。
浴槽の温かい湯につかることで、血管は拡張し、急上昇した血圧が、今度は急激に低下してしまうんです。
つまり、血圧がジェットコースターのように上下に急変動してしまうということです。
高血圧や糖尿病、脂質異常症など動脈硬化が進行した高齢者は、血圧の上昇による心筋梗塞、致命的な不整脈、脳梗塞や脳出血などを引き起こしやすくなります。
反対に、血圧が低下することでめまいやふらつきが起ったり、意識を失ったりして、転倒や溺死という結果を引き起こすこともあります。
では、どういう場所が危険なのでしょうか。
・浴室
・トイレ
・洗面所
・廊下
リビングとの温度差がある場所は非常に危険です。
浴室以外にもトイレは、室温が低いだけでなく、排便でいきむと血圧が上がり、
排便後急激に血圧が低下するためヒートショックが起こりやすくなります。
ヒートショックを起こさないためには?
これが一番大事ですよね。
≪入浴時の注意点≫
・お風呂に入る前と後に水分補給を行なう
入浴すると汗をかき体内の水分が減ります。
すると血液がドロドロになり、血栓ができやすく、血圧が上がると脳梗塞や心筋梗塞になりやすいため、必ず水分補給を行ない、血圧や血流の変動による脳疾患などを引き起こさない状態を作りましょう。
・食後1時間以上空けてから入浴する
食後は消化器官に血液が集まり、血圧はやや低くなっています。
その状態で入浴すると血圧が上がり、急変動が起こります。
・室内の温度差をなくす
先ほど挙げた危険な場所は、温度差があることが原因の一つです。
つまり、リビングとそれらの場所の温度を一定に保つことが最も重要です。
お風呂に入る前に脱衣所を温めておく、浴室暖房をかけておく、シャワーを高い位置から出し蒸気で温めるなど、
事前に対策をとることが大切です。
トイレは、窓があったり換気扇が付いていたりと、なかなか温まりにくい場所ですが、
廊下にストーブを置いてトイレのドアを開けておくなど、工夫すると良いです。
・浴槽の湯温を低めに設定する
お湯が高いと心臓に負担がかかります。
38℃~40℃程度のぬるま湯から入り、熱いお湯を足して徐々に温まるようにしましょう。
・長湯をしない
長湯をすると心臓に負担がかかり、かえって疲労感が増し、転倒しやすくなります。
また、血圧が下がりすぎてしまい、入浴後に血圧が急上昇すると、症状が発生しやすくなります。
・浴槽から急に立ち上がらない
急に立ち上がると血圧は急激に下がります。
すると立ちくらみを起こし転倒する危険性がありますので、縁に腰を掛けて、ゆっくりと立ち上がるようにしましょう。
色々と注意する点がありますが、まずは室内の温度差をなくすことが大切です。
もったいないから、常に人がいる場所だけを暖かくしがちですが、体の為にはよくありません。
倒れることで骨を折ったり、頭をぶつけたりと大きなけがにつながることもあります。
もったいないと思わず、お家全体を暖かく保つようにしましょう。