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保有している土地を放棄することが出来る⁉

 

去年5月末頃に、保有している土地の所有権を放棄できる制度について、

政府が検討し始めているという報道がされました。

 

現在の制度では、保有している土地は放棄することが出来ず、

不要になった場合は、不動産会社などを通じて売却することで土地を手放すことになります。

 

 

 

では、なぜ『不動産放棄』の制度を検討しているのでしょうか。

 

少子高齢化などを背景に、手放したくても売却や活用に困り放置される土地が増えているが、

現行民法には放棄の規定がありません。

今後、所有者の高齢化や相続人の不在で放棄を希望する人は増えるとみられます。

 

 

 

そもそも『不動産放棄制度』って?

 

不動産放棄制度とは、

「土地を相続したものの、移住地と所有地が離れていて、活用や売却もできない」と考えている方などから、

相続や管理委託などを受ける組織を新たに作るという制度です。

 

政府は、新たな組織が不要となったと土地の所有者から土地を保有して、土地活用やリースをしたり、

土地の整形や合筆などを行ない利用しやすい状態にして希望者に売却したり、

国や地方公共団体に所有を打診して国有地や公有地にすることなどに、組織的に取り組もうとしています。

 

消費者からすると不要な土地の所有権を手放すことが出来るということです。

 

 

 

代々受け継がれる土地の現状とは

 

相続した土地に住んでいたり、事業を行なっていれば土地は大切な財産です。

しかし近年、相続で土地を得る前に通勤に便利な都心に不動産を購入していたり、

所有権を得ても使われないケースが増えてきました。

 

先ほども少しお話しましたが、手放す際には不動産会社などを通じて売却し、所有権を移転することが一般的です。

しかし、現在保有している土地の価値が著しく低いなど売却が困難となり、

そのまま空き家や空き地として放置せざるを得ないこともあります。

 

「所有者不明土地問題研究会」の最終報告によると、

平成28年度に地籍調査を実施した1,130地区の約62万筆について調査したところ、

20.1%が所有者不明土地であることが判明しました。

 

所有者不明土地は既に九州に相当する面積にまで広がっており、このまま手を付けずにいると、

2040年までに北海道に迫る面積まで拡大し、経済的損失も少なくとも約6兆円にまでのぼるといいます。

 

 

 

では、私たちに与える影響とは

 

この不動産放棄制度が制度化されることによって、不要な土地を所有している消費者は、

土地の管理を行う必要がなくなるとともに、固定資産税や都市計画税を払い続けなくても良いというメリットが生まれます。

しかし、その一方で土地の所有権を放棄するには、土地の所有者が誰であるかを明確にしなければならないため、

不動産の相続登記を行う必要があります。

 

先祖代々から引き継がれている土地などで、登記を替えていないと、

誰が所有権を持っているのか調べるのに時間がかかります。

また、土地の所有者ん位は、適切な利活動や管理を行う責務が課せられますので、

「使っていないし、売却できないから」と空き家や空き地のまま放置することが難しくなるでしょう。

 

更に、土地を放棄する場合には、所有者が一定額を収めるという仕組みになるかもしれません。

 

 

 

政府は2020年までに不動産登記法や民放などの関連法を改正する方向で検討しています。

制度化に向けては、登記とマイナンバーの紐づけや、登記と戸籍の情報の連携、

所有者の情報を調べるシステムの構築などが必要となります。

そうなれば、私たちにも少なからず影響が出てくるでしょう。

今後の動きに注目していきましょう。