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知っておくと得する『木の底力』
子供たちが、育った場所、環境などで、それぞれ異なった個性を持つように、木も同様です。
木の種類や育った場所、周囲の環境などによって、一本一本に個性が生じてきます。
また、一本の木であっても部分によって性質が異なります。
この木の性質をしっかりと見極めて、適した場所に、適した材料を使うことが、
何百年も生き続ける住まいづくりの基本です。
このように木を正しく使うことを『木使い』といいます。
大工は、これを1400年以上前から熟知していたんです。
しかし、残念なことに、現在では本物の大工が少なくなり、『木使い』ができる人が減ってきてしまっています。
工場での生産性やローコストに押され衰退しつつあるのが現状です。
では、
『本物の木の家』を作るために不可欠な代表的な木と、その特徴をいくつかご紹介します。
まずは、代表的な『檜』
耐久性に優れており、シロアリなどの虫が嫌う成分【ヒノキチオール】を含んでいるため、土台や柱などに用います。
この【ヒノキチオール】は、虫にとっては嫌な臭いですが、私たちにとっては癒しの匂いなんです。
うわぁー檜のいい匂いがするー!というあの匂いです。
檜風呂などもその耐久性を活かした使い方の一つで、美しくて艶のある木肌と、ヒノキチオールの香りが極上空間へと誘ってくれます。
針葉樹のなかでは生長が遅く、同じ樹齢の杉よりも割高になります。
続いては、『杉』
花粉のイメージが強いかもしれませんが、「直ぐ(直ぐなる)」が名前の由来の通り、杉材の繊維は縦方向です。
つまり、お家の柱にするのに向いています。
また、耐久性があり、粘り強いのも特徴です。
しっかり乾燥させると、シロアリにも強い樹種です。
強度の確かな杉は、柱や梁などすべての構造材に、床板や天井板などの内装材、建具材にまるごと利用することができます。
ただし、土台だけはヒノキやヒバなどのかたい材が向き、杉の場合は、必ず赤身の芯持ち材を用います。
次は、『ヒバ』
大きな特徴は、虫や木材の腐朽菌に強いことです。
ヒノキチオールの含有量が多く、特にシロアリに対する強さはナンバーワンです。
腐りにくいうえ、耐水性があって湿気にも強いため、土台や柱などに用います。
また、ヒバには特有の強い香りがあります。
腐りにくく、耐水性があって湿気にも強い、強度も檜と同等という特性を活かして、土台や柱、軒周り、浴室、ベランダなどに用いられます。
次は、『サワラ』
「檜よりもやわらか」つまり、さっぱりしているという意味合いでその名が付いたといいます。
加工性に優れた、優しい木肌を持っています。
水や湿気に強いことが特長とされ、また通直にきれいに割れる性質を利用して、水キレの良さを求められる外壁材として、屋根葺き材として用いられます。
特に天然木は耐朽性に優れ、目が詰まった材で浴室や浴槽、樽、桶などもつくられます。
また、見た目に素直な表情と、檜と杉の中間ぐらいの肌触りの良さから床板に好まれます。
次は、『クリ』
固くて重く粘りがある栗は、土台に最適です。
シロアリや木材の腐朽菌の抑制に有効なタンニンを含むため、腐りにくいのも特徴です。
特に芯材は耐水性にも優れ、湿気の多い浴室など水回りにも用いられます。
表情豊かな木目、肌目は床柱や家具、工芸品などにも向いています。
また、最近では外回りやガーデニングに、クリの枕木がよく利用されています。
最後は、『マツ』
マツと一言で言っても、多くの種類があります。
マツの中でも米松は、曲げに対する強度が強く、梁などの横架材に最適です。
古くから丸太梁として使われています。
素直な木肌で、柔らかい赤松はフローリングに向いています。
マツはやにを多く含むので、材に加工する前に十分なヤニ抜きが必要になってきます。
これらの木の個性を殺さないように上手く生かしてあげれるかが、
大工の腕の見せ所です。
大工の基礎となる「墨付け」「手刻み加工」の技術を次世代へ継承し、
木の性質を知り、 一本一本異なった木に合わせて自ら墨付けし、刻む。
人間の手で木材の特性やくせを読み、
“適材適所”に木を活かす事が本来の木使い(気遣い)だと思います。
もし、マイホームを建てる際は、ぜひ自分の家を建ててくれる大工さんに木のことを聞いてみてください。
こういった言葉が出てくれば、本物の大工さんです。
見かけの良さに騙されず、本物の木の家を作るためには、職人選びが大切です。
自身の知識を増やし、腕のいい大工さんにマイホームの夢を託しましょう!